映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンドリュー・デイヴィス監督「逃亡者」1951本目

1993年のアメリカ映画。このくらい昔の、アカデミー賞やカンヌで目立った賞を取ってない映画って、当時かなりヒットしたものでも、今ちょうど見る人が少なくなってると思う。こういう映画をテレビでやってくれると、思いもよらない出会いがあってありがたい。この映画も、テンポよく出来のいいエンターテイメント映画で、とっても楽しめました。

この映画の面白いところは、冤罪を受けた医師が、知り合いが皆「俺より、私より、彼は頭がいい」と語る切れ者で、まるで「手術もできる人道派ジェームズ・ボンド」。どんな窮地も切り抜ける。彼の無実を、観客たちも信じられるから、安心して彼に夢中になって見ていられます。しかし、いくら切れ者といっても、普通の外科医に何でこれほど度胸があるんだ!・・・と突っ込むのも忘れるくらい、息もつかせません。

まだ携帯電話がない時代って・・・「逆探知」というロマンがありましたね。今は世界中のどこにでも、好きなときに連絡が取れるようになったけど、完璧にログが残るので逆に身動きが取れません。公衆電話を使えば少なくとも時間稼ぎができる。90年代って、携帯のない最後の時代だったよね〜。

 逃亡者が真犯人を追う。その後を敏腕刑事が追う。・・・こういうお話ってよくあるけど、ここまで「逃亡者探偵」が優秀でたくましいことってなかなかないです、特に日本では、か弱い子供のような若者が泣きながら逃げるような映画が多い気がします。

面白かったです。公開当時に、友達やボーイフレンドと見に行きたかったな〜。