映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

石井岳龍監督「ソレダケ that’s it」1946本目

全編白黒なのかな。と思ったらトマトが赤かったり。だんだん色づいてくる。

石井岳龍という監督が石井聰亙のことだと初めて知った!なんで、いつ、改名したの?(字を間違えられるから、等とWikipediaとかに書いてあった)

冒頭の新宿西口っぽい、こなれてちょっと荒んだ感じの街角のコインロッカー、染谷将太ってこんなにいい男だっけ?スタイリッシュな映像と、ヒリヒリする感じの音楽のせいかな?音楽はBloodthirsty Butchersだそうだ。歪ませたエレキギターがギュイーン、ドンタ、ドンタ、っていう4ビート。昔よくライブハウスでこういうのを聞いたけどこのバンドのメンバーは同世代だった。やっぱり「今の若い子」っていう世代ではないんだな。

いろんな情報が詰まったハードディスクって、どれくらい価値があるのかな。個人情報が安易に暴かれる世の中になってきたから、命がけで秘密を守るというストーリーはだんだん廃れていって、暴かれた秘密とどうやって生きていくかってことの方がテーマになっていくような気がする。

セリフが聞き取りにくいし、がんばってもあまり共感できそうな予感がしなかったので、ひたすら醸し出す空気を感じてみた結果、この映画が日本のパンクなんだとしたら、UKのパンクとはだいぶ違うと思った。日本のパンクは心を病みそうになった若者が家を出てやさぐれて暮らすこと、UKのパンクはマイペースに生きてる若者が仕事をクビになってやさぐれること、って印象。

この映画はどんな大音響でもどんな暴力があっても、全て自分の心の中の葛藤、みたいな。仕事やお金がないことと、心が苦しいことは、どっちがキツイとも言えない。「タクシー・ドライバー」みたいな装束で可愛い子たちがウォーってマンホールに潜っていくのがクールじゃなくて滑稽なんじゃないかと思う瞬間もあるんだけど、これで誰かの心の中の黒いものが吐き出せるならどんどんやってほしい、です。

ソレダケ/that’s it

ソレダケ/that’s it