映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フィリップ・ル・ゲ 監督「屋根裏部屋のマリアたち」1937本目

フランスでメイドとして働くスペイン人って、実際にたくさんいるのかな。1960年代にはいたのかな。「屋根裏部屋」っていう秘密めいた魅惑の場所に暮らすエキゾチックな女性たちの生活。アパルトマンの「屋根裏」というのはちゃんと貸し出されているのに水道もなく、トイレが詰まっても貸主は直してくれない。移民は立場が弱いからかな。いつの時代も、既得権益を持ったその土地の強者が、新しくやってきたものにイジワルをするのよね。それもまた人間のサガなんでしょう。

内戦を逃れてきた賢く働き者のメイドたちは輝いてますが、 ここのご主人、銀行家の三代目がまた、いい人なんだよね。スペインとフランスは私たちから見ればラテンヨーロッパだけど、かなりの文化の違いが見えてきて面白いです。

・・・で、結末なんだけど?(以下ネタバレというか考察)

未婚のまま産んだ息子に会いにスペインに戻った彼女に、3年後、近所の人が「娘さんの具合は?」と話しかける。ああ彼女にはもう新しい夫と娘まで・・・いや、ジャンルイを見たときの彼女の表情のあの輝きは?昔の男がやってきて困ったって顔じゃないよね。・・・もしや娘というのはあの夜、ジャンルイとの間にできた子では?

明かされることはありませんが、そう思うとちょっと楽しい気持ちになりますよね。

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]