映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

市川準監督「東京兄妹」1929本目

1995年といえば今から23年も前だから、古くさい感じの街角にクラシックな兄妹が歩いてきてもいいのかと思ったけど、違和感を感じた人も多かったらしい。確かに、その時代はむしろバブルで、こんな枯れすすきな昭和ではなかったはずでした。

兄、妹、小さい写真屋、電話ボックス、といった昭和感あふれる佇まいは見ていて気持ちいいけど、兄の唯一の友人が彼の妹の気を引いて同棲に至る際の妹の心の動きを描くのを、完全に飛ばしてますね。 割と真面目に見てたのに筋が追えない。ちょっと、あるべきものがない感じです。それでも1990年代のバブルの裏側の映像として美しさを感じられるものでした。

キネマ旬報ベストテン上位の映画の中には、男の美学なんだろうなぁ、という、必ずしも共感できない世界の映画も結構あるんだけど、これもその一種で、妹という手の届かない「女」に対する複雑な思いをあくまでも主観的に描いたんだと思えば、それでもいいです。

でも、なんでバルサン炊くの?これもしかして「スモーク」?

東京兄妹 [DVD]

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