映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ショーン・ベイカー 監督「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」1928本目

ああっ、可愛い。しょっぱなからピンクの壁の前に可愛い少年と少女、名前がムーニーとスクーティですよ。なんというチャーミングな世界。駆けていくこの子たちのバックに「Celebration」。スマホだけで撮ったという前作「タンジェリン」より洗練された映像。

ピンクの壁や屋台で流れるサルサキューバっぽいのはフロリダがキューバと目と鼻の先だからかな。フロリダのディズニーワールドに行った時、すごく庶民的な家族づれが多かったからか、この映画に出てくる人たちには違和感がない。

落ち着いて考えてみると、この映画って「万引き家族」と似てるね、invisible peopleだもんね。日本からディズニーワールドに出かけてもなかなか目につかない。東京スカイツリーに出かけても万引き家族には気づかない。

どこでどういう暮らしをしていても、できるだけ自分らしくいようとする人たちは、こんなにピカピカに美しい。多分、ムーニーたちが身近にいたら、あまりのお行儀の悪さに毎日のように切れてしまうと思うけど、やっぱりたまらなく可愛くて素敵です。

そして何よりこの映画は、ショーン・ベイカー監督にInstagramで発見されたブリア・ヴェネイトっていうびっくりするくらい素敵な素人のおかげで、忘れられない映像を見せてくれました・・・。

<以下ネタバレ>

おとなしくて受け身だったジャンシーが最後に覚悟を決めて、泣きじゃくるムーニーと二人で魔法の国に旅立つのが、最高に可愛い。