映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

若松孝二 監督「千年の愉楽」1917本目

中上健次の原作を読んだら強烈だったので、映画も見てみたいなと思いました。

キャスティングはかなりイメージ通りですね。

女に刺されて死ぬ彦之助に、井浦新

誰もが振り返るような美男子の半蔵に、高良健吾

自分からワルの道に突っ走っていく三好に、高岡蒼甫

まだ素朴だけど”中本の血”を感じさせる達男に、染谷将太

リュウノオバのイメージは持てなかったんだけど、寺島しのぶと聞いて、他にこの役を演じられそうな人ってあんまりいないな・・・と思いました。

「路地」の人々が「バンバイと叫んだ」り、「猿のように狩られた」過去のことは、歌の歌詞にしか出てこないので、「百年の孤独」にならってこの物語全体を通してずっと流れている血の濃さはこの映画ではあまり切なく感じられない。

でも現実の見た目はこんな感じなんだろうな。「神の視点」みたいな作家の目で彼らを見下ろすんじゃなくて、影響を受けている当事者として、彼らの汗や血を生々しく目の当たりにして路地の人たちは暮らしたんだろう。作家と違って監督の視点は、地面に近いところにある。居酒屋の彼らと隣のテーブルで同じような酒を飲んでいる。そんな感じです。