映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・ジャック・ベネックス 監督「ベティ・ブルー インテグラル」1903本目

まだ見てなかったのが意外。若い頃の私が見そうな映画なのに、存在を忘れてた。やっと借りてきました。

で、感想だけど、いい。この映画、良いです。
ロクデナシたちのバカみたいに純粋な愛、って最高にいい。
 
ベティの天衣無縫な可愛さは、ハラハラしながら目が離せない。
笑った顔が水原希子みたい。今見ても現代的な、少女が憧れる少女という感じです。
あんな町のあんな小屋に住んで、ベランダで一緒にワインを飲むなんて、天国かしら。
ゾルグの優しさは、心が広いのか?無頓着なのか?見栄を張ってるのか?
違うな、私たちと同じで、彼女の奔放さから目を背けることができないんだ。
誰でも自由に生きたいと思っていて、枠からはみ出したいと思っているのに、自分で自分を縛っているから、彼女をそんな自分の出口のように思ってしまうんだな。
 
ただ、大きすぎる愛は相手を意外と傷つける。
純粋さはすぐ粉々に壊れる。ベティの心もゾルグの心も。
 
ゾルグを演じたジャン=ユーグ・アングラード は、この間見た「5時17分、パリ行き」で描かれた「タリス銃乱射事件」に居合わせてたのか。この映画が作られて32年後に見た映画の現実の事件にこの俳優が出ていた、ということは事件が2015年だから彼はもう60代でこの映画の中の若い男ではなく・・・(混乱している)
 
そしてこの原作者は、「エル」と同じなんだ!30年間、それぞれの関係者が重ねてきた時間を思うとなんだか感慨深い・・・。