映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・カサヴェテス監督「ミニー&モスコウィッツ」1682本目

1971年のアメリカ映画。
そんなこと言わなくてもわかるくらい、70年代のアメリカ感がいっぱい。

(以下、いろいろネタバレ)

ジョン・カサヴェテスって面白い。
妻が主役の映画の脚本を書き、監督しつつ、自分は彼女の情婦として登場する。家族がありながら彼女の部屋に勝手に上がりこんでいて、帰ってくるといきなり殴打。そんな仕打ちをしておきながら、妻が自殺未遂を図ったから別れようと、息子まで連れて職場に押しかける。こんな男、見たことないくらい最低!
でその女は駐車係の若い流れ者に惚れられて、ギャグとしか思えないドタバタな恋愛に巻き込まれていく。・・・
この二人、最初から本音で怒鳴りあってばかり。本当に恋愛する気あるのか!?と突っ込みたくなるくらい。面白い監督だなぁ、本当に。なんかでもこの最低の恋愛、すごくいい。もっとみんな本音をぶつけあって、ちゃんと受け止めあって、許しあって愛し合わなきゃなぁ。

妻=ミニー=ジーナ・ローランズには「グロリア」で惚れた経緯があるので、好きな人として最初から肯定的に見てしまう。(それでいい)流れ者=モスコウィッツ=シーモア・カッセルは、”若い男”なんだけど金髪の長髪、長〜く伸ばした口髭で、なんかお爺さんみたいです。中年女と若い男、という風になかなか見えない・・・。
でもそんなこと関係ない。「俺は最高の男だ、俺はお前を愛してる、お前も俺を愛してる、結婚してくれ」と、どストレートに迫ってくる彼は、確かに最高の男なのです。(vs.いつも殴ってた妻子持ち)

二人が自分たちの母親を呼び出してディナーをする場面。母子の組み合わせは、逆の方がぴったりくるようで不思議。なかなかの美人で一見お上品なミセス・モスコウィッツが自分の息子をこき下ろす毒舌も強烈。ほんとに、監督って面白い人だわ。確かにどう見てもうまくいかない二人だけど、女の方はもう色々知り尽くした中年だから、もはや男性を見た目や職業では見ない。モスコウィッツみたいに大きな愛を持った男の価値は、このくらいになればわかってくる・・・(共感)

寂しすぎる結婚式の場面も、子供が多すぎる家族の場面も笑える。若干、ほんとにその後うまくいったのかなーという気はするけど、理想的なビジネスマンと結婚したとしてもうまくいくとは限らないし、一生に一度でも「俺は最高の男だ」って言う男に愛されればそれでいいのだ。

あー、いい映画だなぁ。特に、愛が見えなくなって誰ともおつきあいができなくなっている日本の独身男性・女性(私か)はこういう映画を見て、愛って自分の中にある、どことなくあったかい何かのことだった、って思い出したりするといいと思います。

ミニー&モスコウィッツ [DVD]

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