映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

小津安二郎監督「突貫小僧」1647本目

1929年の作品。昭和でいうと4年です。すごいフィルムが残ってたなぁ!
今から90年前。突貫小僧さん生きてたら90いくつ、当時の彼から見てひいおじいさんより上くらい。
これずっと見たかったのです。TSUTAYAプレミアム、ばんざい。
何がすごいって、一般家庭の普段着が全員、着物。戦後の作品でも、おばあさんとかお母さんが着物を着てることはあるけど、お父さんも娘さんも洋服で仕事に通ってますから。おまわりさんだけ洋服。で、頭はみんなザンギリ頭で、大人はなぜかみんな口ひげを生やしてる。流行り?(子供スカウトのおじさんのは、変装のための付けひげらしい)

突貫小僧くん、やんちゃで元気で賢くて、可愛い!
そもそも、人さらいってものがいるって設定がなんかすごい。実在したんだろうか。したんだろうなぁ。
随分愛嬌のある、変顔の得意な人さらいのおぢさん。
親分の頭にいっぱいハゲができてて、ゴルフのグリーンの中のホールみたいになってるのはどういう設定なんだろう・・・。この頃は栄養不足で円形脱毛症になる人が普通にいたんだろうか。
お父さんの口に小僧が突っ込む、大きなパンみたいなものはパンなんだろうか。
もう、そういう市井の人々の生活ぶりがいちいち気になって仕方がありません。

フィルムの一部しか残ってないので、38分映画のうち14分しか見られないけど、この頃の人たちの明るくパワフルな生活がかいま見られて素晴らしかったです!