映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

新藤兼人 監督「ブラックボード」1643本目

1986年の作品。
たまたまだけど、「クーリンチェ少年殺人事件」を見たばかりなので興味深いです。
どちらも、大人の知り得ない少年少女たちの狭くてドロドロした世界の中で起こった出来事で、「ハニー」と「猛」が重なって見えます。

演技経験がすくない少年少女ばかり出演してるので、なんかみんな棒読みなんだけど、このくらいの年の子達って内向的で抑揚のない喋り方をする子が実際多い気がする(私もだったな)ので、いいのかな。特にこの、佐野量子演じる矢澤智子の不思議な、誰ともフィットしない間合い・・・。
この映画では、いじめっ子の猛の手下のうち、男の子2人が造反して猛はやられてしまったけど、智子は彼を信じて、従い続けた。

誰が不幸だとか誰が傷ついてるとかは一切言わない映画。
「いじめって何なんだろう?」と新藤監督は問いかけたかったのかな。

サザンオールスターズの、この頃のヒット曲が、当時の少年少女の心象風景を表してるようでした。

ブラックボード [DVD]

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