映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェイ・ローチ監督「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」1638本目

監督は「奇人たちの晩餐会USA」の監督として紹介されてるけど、見た人は少ないだろうしオリジナルのフランス版の方がダントツに面白かったので、なんと言えばいいか。「トランボ」はとても面白かったので、むしろ「奇人たち」には触れずに置いてあげてほしいです。

この映画、いい役者さんがたくさん出てますよね。ダイアン・レインがこんなに綺麗で素敵なオバサンになってたというのはちょっと感激です。ヘレン・ミレンは、他のキャスティングを考えるのが難しいくらいどハマり、エル・ファニング(「夜に生きる」で素晴らしかったのが、こういう役もさらっとできてなかなかの実力派)も普通だけど鼻っ柱の強い少女をよく演じてる。ジョン・グッドマンビッグ・リボウスキ思い出すね)もいい感じ。
主役のブライアン・クランストンは、見たことある気がするけど・・・という感じで、すみませんあまりちゃんと覚えてません。

ハリウッドの「赤狩り」の話はちょこちょこ聞いてたけど、なかなか徹底してたんですね。アメリカは定期的に敵を入れ替えてるらしい。今はイスラムの人たちを目の敵にしてるけど、コミュニストにはユダヤ人もいただろうし、人種や出身でなく信条で人を差別するのは見た目には難しそうだ。

トランボって人は大変な才能の持ち主だったんだな。「ジョニーは戦場へ行った」の原作も監督も彼だ。「スパルタカス」は大作だし、ロマンチックを後世に語り継いだ「ローマの休日」、「いそしぎ」が彼の作だなんて、驚くほど幅広い!これほど感受性が豊かな人が「赤狩り」でどれほどの思いをしたか、と考えると胸が痛みます。

映画好きとしては、これは見ておくべきだなと思います。