映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

キャメロン・クロウ 監督「あの頃ペニー・レインと」1635本目

2000年のアメリカ映画。期待しないで見て「意外によかった」と思ってほしい映画です。

この日本情緒溢れる邦題、「ペニーレインでバーボンを」(それは吉田拓郎)、原題の「Almost Famous」よりずっといいんだけど、やっぱりアメリカン・ドリームの映画ってことをタイトルで訴えてるんだな。ミュージシャンの風体やブラックサバスとかツェッペリンとか出てくるあたり、1970年代ですかね。

監督の自伝的作品なんだね。いろんなバンド、いろんな女の子のエピソードや特徴を寄せ集めてるのかもね。きっと、少年にとっては夢のような世界だったんだろうな〜。グルーピーという人たちって、今でいう「プロ彼女」みたいなもんですか。特定のミュージシャンと恋をするというより、華やかな世界にいたくて、みんなに愛されていたい寂しい美女たちなのかな・・・。どんな時も自分を美しく見せられて、自信満々な彼女たち。同じ女性として憧れるけど、人はそう簡単には足りるってことができないのかもね。

小さい飛行機が落ちそうになったときの秘密暴露大会、すごく受けたけど、あれがこの映画のクライマックスなのか?もはや生き延びても誰もハッピーじゃない感じ・・・。

その後の別れと再会とあんな、こんな、を経て、バカやれる頃ってやっぱいいよなぁ、という気持ちで終われる。若い頃にもっとバカやれば良かったと、5割くらいの人が思うだろうけど、だったらこれからでも遅くないのでやりたいことやりましょう!

怪しい編集長を演じてるのはフィリップ・シーモア・ホフマン。おおらかに怪しいこのキャラクターは貴重。
お母さんの口元のクセ、見覚えがある・・・もしかして「ファーゴ」の身重の警官?この映画でもリアルで強くていいなぁ。そしてド派手なスチュワーデスのお姉さんは「500日のサマー」の美少女か。「サマー」の時の方がいいな・・・そして大スターであるラッセルの印象が、驚くほど薄い。