映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

オリバー・ストーン監督「スノーデン」1630本目

面白かった。
そもそも私は”IT企業にいたのにテクなし”にありがちな、”ハッカー”とか”数学の天才”とかにめちゃくちゃ弱い人間なので、若きスノーデン氏が5時間かかる課題を38分で終えたドヤ顔あたりで「ヒュ〜♪」と口笛を、吹けるも
のなら吹きたい。
その後、CIAやNSAアメリカのテレビゲームみたいにポン、ポン、と、何の恨みもない市民を殺戮していく光景に驚愕したり、てんかんの発作をおこしたりする彼に、私だけでなく多分かなりの人たちが共感したと思う。
データを巧妙に持ち出してマスコミに告発する彼の姿には、救われた気持ちになる。
日本だったら、社畜にならず彼みたいに人間らしさ、自分らしさを保ちながら軍事機密に従事できる人はどれくらいいるだろう?上司に意見するとか、彼女との生活のために辞めるとか。
彼みたいに巧妙にかつ頭脳的に機密や公開方法を特定して持ち出せる人は。
これほど賢く、トップ記事として彼の情報を報道できる新聞社やテレビ局は、そのスタッフはいるんだろうか。
そもそも、日本にはこれほどの情報戦を繰り広げられる戦略的軍事機関はたぶんないと思う。予算とか人員の問題で、あっても中途半端な機器しか持たない小さい組織なんじゃないかなぁ。