映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イエジー・スコリモフスキ 監督「イレブン・ミニッツ」1563本目

なかなか変わった映画だな。
アイルランドポーランド合作とあるけど、英語じゃないし、製作スタッフも出演者の名前も東ヨーロッパっぽいから、ポーランド映画といったほうが良さそう。

「変わった映画」というのは、オムニバスドラマのようで、結構悲惨なんだけど、脈絡があるようでないようで、教訓が見つからない。破綻はない映画なんだけど。時系列通りに進まない映画って最近たくさんあるから、そこは「変わっている」ポイントにはならない。”因果応報”のあり方が珍しい感じがするから、「変わっている」って思ったんだ。つまりこれは意外と面白い映画なのかもしれない。とにかく二回は見ないとわからない映画だなぁ。

「犬死に」という言葉が浮かぶな。
自分で飲むつもりでシャンパンに睡眠薬を入れた男が、妻の仕事を浮気と思い込んで彼女を追ってその部屋へ。
それをしなければdisasterは起こらなかった。そこに原因と教訓を求めるか?
それとも、そんなちっぽけなことで起こってしまうのが事件だ、むしろある日起こった連続事件の直前に、被害者たちはそれぞれの人生を送っていた、というレトロスペクティブな物語を描きたかったのか。

驚いたのは、この監督が、”尖っていて斬新なことがやりたい緻密な若手”じゃなくて、「水の中のナイフ」(ポランスキーのデビュー作)の脚本を書いたりもした79歳の大御所だってこと。驚けるのは幸せなことだ。あまり映画を見たことのない国がたくさんあるって思うとゾクゾクする。

「もう間に合わない」というセリフが何度か聞こえてくる。実は教訓的な映画なのかな。いやこのスローモーションをコメディのつもりで楽しめばいいのか。しかし一体何人死んだんだ。
”最後の11分間”を3たび見る。
映画監督が落ちた、救急車が前科者と不倫宅配男のバイクとぶつかって火に包まれた、バスが横転した、窓拭きも落ちた、バス(尼僧もエロビデオの女も画家も盗人も乗っている)が爆発してホテルのフロントも爆発した、女優も落ちた(彼女にクスリを盛ったのは誰?)。生き残っているのは、嫉妬夫だけだ。やけにクールなエレキギターの音が加速する。で、その後は無音。こういう作り方って私の敬愛するミヒャエル・ハネケみたいじゃない?
なんだこれは?もしかして最高にロックな映画なんじゃないか?長老のロックって、遠藤賢司みたいでなんかカッコいいぞ。しまった、見つけてしまったよ。キネ旬ベストテン入賞作ながら平均点60点台という、好みの分かれる玄人好きのする作品。こういう作品は、はまると沼が深い。

あとやっぱり特筆したいのは、東欧女優の菩薩のような豊かさ、美しさかな。パウリナ・ハプコっていうのね。タルコフスキーの映画に出てくる、むせかえるほど大きくて美しい女性たちをほうふつとさせます。