映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・フォード監督「駅馬車」1560本目

1939年のアメリカ映画。西部劇の有名な作品。
私にとっては、小さい頃に学校の音楽のほんか何かにこの映画のテーマ曲が載ってたのを覚えてるくらいで、西部劇はあまりピンとこない世界だなぁと思ってました。

この間グランドキャニオン近辺を旅行して、この映画の舞台になったアリゾナ州の名所、モニュメントバレーとかをぐるぐる回ってきました。撮影に使われた本物の「駅馬車」の車体も観光客用に公開されてて、なんと中にも入れました。何回も何回も塗り直してあって、おそらく原型を留めてなかったけど。

アリゾナの大地はあまりにも広大で、未開拓のままで(ナバホネイションとしてこの映画が撮られる前から保護されてますからね)、つまり今もこの映画の時も何も変わってないのですが、そうなると、バスで観光している私も、駅馬車アパッチ族と交戦する彼らも、映画を撮っていたクルーも、みんな不自然に思えてきます。みんなちっぽけで移り変わっていって、変わらないのは大地のほう。観光名所は1000年前からなんにも変わってない。
改めて、あの国ってなんて巨大で強いんだろうと思ってしまいました。

映画は、ジョン・ウェイン演じるリンゴと流れ者の女、ダラスが一応メインのカップルなんだけど、リンゴが登場するのは映画の中盤だし、ダラスの印象が強くなってくるのも後の方で、流して見ると群像劇って雰囲気があります。実にいろんな人が乗ってくる。夫に会いに行く身重の若い妻、賭博師、アル中の医師、牧師に見えるけど酒屋の男・・・。馬車に乗り込む前の街中にはさらにたくさんの人が出てくるので、しばらく私なんかはどこに集中したらいいのかわからなくて混乱しました。

駅馬車 HDリマスター[Blu-ray]

駅馬車 HDリマスター[Blu-ray]