映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・クローリー 監督「ブルックリン」1469本目

なんとこれはアイルランド映画なのね。+イギリスとカナダ。アメリカじゃないんだ。
シアーシャ・ローナン、「ラブリーボーン」で悲しく美しい女の子を演じて胸をえぐられたけど、今度は可愛く元気でくじけない、田舎者(失礼!)。すんごいアイリッシュアクセントが、だんだんニューヨーク風に染まっていくという、中級レベルの英語リスニング教材にもなります!※帰省中のエイリシュがNYのトニーに手紙を書いてる時だけ、NYアクセントになってるのが面白い。

そして、アクセントが変わり、メイクが上手になり、ファッションセンスが磨かれるころ、もう彼女は故郷へは帰れない。これ、九州から東京に出てくるのと同じ話なんだけど、距離の遠さが切ないですね。どんなに新しい場所に馴染んだ人でも、どこかで辛い思いをして絆を断ち切らなければならない時がくるんだな。
そう言う意味で、あまりにも普遍的なストーリーなんだけど、普通のことを丁寧に丁寧に描くことで、これほどの作品が完成するんだということを、改めて実感しました。