映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

森田芳光監督「(ハル)」1450本目

今からちょうど20年前の作品。
DVD特典に入っている森田監督の声も若々しいけど、深津恵里の可愛らしいこと。
今もキレイで可愛いけど、この頃は可憐で生真面目で、少女っぽいですね。
相手は誰だかしばらくわからなかった。まさかの内野聖陽じゃないですか。
こちらの生真面目さは、もっと竹を割ったような融通の利かなさを感じさせます。

パソコン通信かぁ、懐かしいなぁ、でも今と何も変わってないような気もする。
ガガガ〜〜ピ〜〜〜っていう“モデム音”が、ないだけで。
なのに全然違う感じがするのは、“チャットルーム”を出たあとの会話が密室内で行われていたからかな。
今だってLINEの1:1メッセージの体裁は同じようなものなんだけど、今そういうものを楽しんでる人達は、お茶目なイラストや動画や顔文字で常に楽しさ、軽さを演出することを暗に求めあっていて、黒い画面に文字だけが浮かぶ昔のシステムとは、感情移入の度合いがまるで違うんじゃないだろうか。

たまたまチャットルームで知り合った二人が、映画フォーラムだからといって20年前に「8ミリ」を持っている可能性は低いと思うけど、スマホですぐに動画が撮れる今、ひとつの短い動画をこれほど何度も何度も大事に見返すことなんてしてるかな?

しかし、直接的な刺激ワードを連発しつつ、何もさせない女「ローズ」ってのは、男性の想像の産物だと思うが・・・。今も昔も。言葉づかいが明らかに男だし、会ってみたら若くて美人だった、なんてことはありえないでしょう〜。
ローズとほしが姉妹というオチ以上に、この設定はないな、と思った。

(ハル) [ 深津絵里 ]

(ハル) [ 深津絵里 ]