映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チャーリー・カウフマン 監督「アノマリサ」1445本目

いつも変な映画を撮るカウフマン監督の、新しい変な映画。
主役の男の見た目は一見普通だけど、「深刻な味覚障害」くらいは病んでる。ただ、彼がわからなくなってるのは味じゃなくて人の、声と見た目の違い。顧客志向なんたらの本が売れて講演会で旅をしてるんだけど、たぶん彼が見ている人間はみんなジャガイモみたいなもんなのだ。
元カノの個性も思い出せなくなってる彼が出会って恋に落ちたのは、本人曰く取り柄もない女性だけど、何かがあったんだろう。(何が違うんだろうな、実際)

幸せなベッドインの後も男は悪夢にうなされ、講演はボロボロ、唯一無二の女性ともお別れ。
大人のおもちゃ屋で買った、ブレードランナーに出てくる香港製みたいな怪しい”日本人形”をお土産に、何食わぬ顔で、区別のつかない妻&子供の待つ家へ帰るのでした。
それで良かったのか、この男。でも、他にやりようもなかったか。

なんだろうなぁ、カウフマンはそうやって、どうにもならない人生の憂鬱みたいなものを描き続けるんだな。