あいかわらず、すごい詩情だなぁ。
完全に引き込まれてしまって、騙されてさらわれた花嫁のような、騙して儲ける男のような、登場人物に自分が化体して悲しく、切なく、愚かで無垢な気持ちになってしまっています。
黒木華ってこんなに可愛かったっけ。
彼女の魅力を史上最大に引き出した映画、ということは確かです。
でも、前に見た作品では、素直だけどちょっと小ずるい女の子だったはず。
また別の作品では、大人しくしているけど、どこかしたたかな女の子だったはず。
カメレオンだなぁ。万能だ。
彼女を女優さんとして見ていても、この映画の中のナナミとして見ていても、私は、ものごとって疑わずに甘受していてもいいのかな、と思い始めてる。いいな。こういう、映画に溺れる感じ。
何がこうさせるんだろう。監督の美意識なのかな。
で、リップヴァンウィンクルって何?と思ってググったら、ワシントン・アーヴィング(ジョン・アーヴィングではない)というアメリカ初期の作家がオランダの伝説を元にして書いた、”アメリカ版浦島太郎”の、その浦島の名前なんだそうだ。眠ったように世間から隔絶した感があるのはナナミのほうだけど、リップヴァンウィンクルと名乗るのはCocco演じるマシロさんのほうだ。彼女がなぜ自分をそう呼ぶのか。その辺まだわからないので、おいおい考えてみたい。