映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

テレンス・マリック 監督「天国の日々」1406本目

1978年、テレンス・マリック監督のデビュー作。
世界中で、おそらく太古の昔から起こってきた”三角関係のもつれによる犯罪”だけど、加害者でも被害者でもなく、彼らが愛した女性でもない第三者、感受性の強い少女の視点で語られるので、「天国の日々」なんだな。
俯瞰して見るからかえって、ああ、人間って・・・と、切なく懐かしいような気持ちになります。

ミレーの「落穂拾い」の実写版みたいな夕暮れの風景が何度も出てきます。画家が何に美しさを見出して、後世の私たちが何に今も心を動かされるのか、よくわかった、気がします。
「貧しい雇われ人の生活」も、「金持ちと偽りの結婚をした生活」も、ほんとうに美しく感じる。映画だからなのか、それともほんとうに美しいのか?多分後者だろうと思うので、私は、人間ってみんな美しいんだろうと思えるのかな。

天国の日々 (字幕版)