映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

木下恵介 監督「香華」1403本目

1964年作品。田中絹代の娘が乙羽信子、その娘が岡田茉莉子って豪華!
花魁の娘が芸者になって、真剣な恋に落ちるけど成就せず、恋多き母を恨みつつ、つくし続ける、っていう物語。
切ないです。誰も報われない。花魁は芸者より”下”なのか、っていう問題じゃないんだよ?
どう考えても、本人たちは必死で、長年誠実にがんばってきても、何一つ実らなかった・・・そういうときに、「世の中が悪い」といえばその通りなんだと思う。でも多分、違う世の中になったら、また違う理不尽があって、どこかで切ない気持ちを抱えてる人って必ずいるんだ。
そんな人生を終えようとしているときに、だから世の中を恨みながら死ぬのか、自分や家族の笑顔を思い出すのか。

香華っていう言葉があるんだな。仏教用語で、仏前に供えるお香や花のことをいうんだって。
若いときに亡くなったある女の子の戒名の最後に「香華」ってついていて、それがタイトルになっている映画があるから見てみたんだけど、その子の短い実りのない人生も、ちゃんと美しかったんだよって言ってあげたい気持ちです。
木下惠介生誕100年「香華〈前篇/後篇〉」 [DVD]