映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スタンリー・クレイマー 監督「招かれざる客」1366本目

原題は「Who's Coming to Dinner?」。秀逸な邦題のいい例ですね!
1967年の作品だけど、キャサリン・ヘップバーンがもうおばあさんっぽく見える。
アフリカの女王」でボギーと恋に落ちかけた”オールドミス”は16年前、まだ34歳だったのね。自分の娘が結婚しようとしているこの映画のときは50歳か。落ち着いていいおばさんになりましたね。当時監督であり夫役のスペンサー・トレイシーと実際にパートナーだったのね。(17歳の年の差!?)

アメリカの良識に挑戦するかのように、何の前置きも伏線もなく現れる黒人男性。その両親までもがその日のうちに訪問してくる。彼女はその後、夜のうちに彼と一緒に飛行機で旅立つと言う。さあ、どうする。どうする、どうする。…こういう追い詰め方が、映画としての面白さを増幅してますね。

こういう驚きと戸惑いって、今もいろんな場面で起こってるんだろうな。

最後を締めるのもまた、アメリカの良識。と、まとめています。きれいすぎる、と今の時代の人は思うでしょうね。でも、世の中がだんだん良くなっていくって信じられた時代には、この映画が希望のように見えたんだろうなと思う。