映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウォン・カーウァイ監督「恋する惑星」1350本目

1994年の作品。
22年ぶりに見た、わけか・・。
おとぎ話みたいな、夢の中みたいな設定。
男性の一人語りで進む、あるいはちっとも進まない、ストーリー。

役者さんたちも魅力もすごい。
「あのさ、パイナップル、好き?」と話しかける金城武の甘い声、まだ少年みたいな表情。
フェイ・ウォンって史上最高に可愛いヒロインのベストテンに入るかも。
レズビアンの女性に愛されそう、と勝手に思ってしまう、性別を感じさせない無邪気さ。
トニー・レオンのフェロモンは謎。なんかこう強烈に、相手をつかまえて襲いかかりそうな視線。

それにしても、この邦題はズルい。原題と全然違うのに、この映画が好きになりそうな女性を引きつけすぎる。
といっても、ただファッショナブルなだけの映画って実はあんまりない気がする。
この映画も、他のもっとドロドロしたウォン・カーウァイの映画と同じように、恋愛の、言葉にならないもどかしさを、いろいろな例をあげて表現したものなのかな。

返還直前の、ヨーロッパの香りの強い香港の姿も、懐かしく美しかったです。