映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ディック・リチャーズ 監督「さらば愛しき女よ」1324本目

1975年、けっこう前の作品です。
骨太なロバート・ミッチャムが、身体の負担が大きそうな、くたびれたおじさんになってます。
コケティシュな”判事の妻”にシャーロット・ランプリング。この人は、クールなのにやたらと扇情的で、なんかすごい。

「ハードボイルド」ってのは大人になりきれない大きな坊やだ・・・と「ロング・グッドバイ」を見て改めて意を強くしてたんだけど、この映画ではむしろすごくエモーショナルな、寅さんや健さんに近い人情派探偵という探偵像だなぁと思いました。ストーリー展開にも無理がなく、主人公の行動も大人でした。ロバート・ミッチャムが好きだからそう感じたんでしょうか?

ひたすら主人公による、皮肉っぽい独白ナレーションが続く、といったチャンドラー節も健在。
これはこれで、良いと思います。