映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョシュア・ローガン 監督「サヨナラ」1323本目

1957年のハリウッド映画です。ハリウッド!
これほど興味深い作品は、いまだかつて見たことがない、といってもいいかも。
アメリカから見たエキゾチックなジャパン像の妄想が詰まった、キッチュでロマンチックな作品です。
違和感ありありの日本像を除けば、許されない愛を貫いた男女を描いた、みごたえのある映画ですよ。

日本ロケが行われたというけど、どうも日本に見えない場面も多いです。たとえば、マツバヤシ少女歌劇団がいつも、わらべうたを歌いながら通る庭園。少女歌劇団のひとたちも、なんか無理やり集めた日系人の団体さんって感じ。これが本当に日本で撮影されたんだったら、現地コーディネーターなしで、小道具も全部アメリカから持ち込みとしか思えない・・・。

それにしても、主演の高美似子(たか・みいこ)は美しいです。シアトル生まれの二世だそうですが、少女歌劇の舞台での姿も堂々としています。涙を浮かべて話す英語も、なんだかわからないけどエキゾチック。
本名はシカタさんというらしい。シカタ・ミエコを英語が母語の人が発音するのは難しいので、タカ・ミイコになったのかしら、とか思ったり。

シアトルで長年堂々と営業している「I Love Sushi」や「Benihana」といった日本食レストランで見られる、奇異な傘のついたジャパニーズカクテルのタンブラーのゲイシャスタイルなどは、こういった誤解映画から来たものなのかな。そういう勘違いした憧れって、私大好き。