映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ギャスパー・ノエ 監督「アレックス」1307本目

フランス映画。

今話題の「LOVE 3D」を撮ったギャスパー・ノエってどんな監督だろうと思って(「LOVE 3D」を見にいく勇気がなくて)、まずこっちを見てみました。
他の人の感想に「モニカ・ベルッチのレイプシーンを期待して見に行ったオヤジたちがひどい目にあう映画」のようなことを書いてありましたが、私もわりとひどい目にあったほうかもしれません・・・すみません・・・。

こういう映画を撮る人って・・・暴力に興味があるんだろうか?とか思ってしまう。あけすけな、むき出しの暴力を見せつけられると、誰でもおそろしく嫌悪感を感じるものだと思う。「時計仕掛けのオレンジ」のアレックス(奇しくも同名)の暴力や、彼を改心させるために見せつける暴力を思い出してしまう。なんか、道徳心を思い出させるためにここまで徹底的に見せつけるのか、と。

原題はたぶん、英語だと「Irreversible」だから、逆行させることはできない。
少しずつハッピーになる日々を(時間をさかのぼってるから)見せてくれるので、少しほっとする部分もある。けど結末のひどさを思い出してハッとする。この映画の、時系列を遡る感じは、凄惨な事件を経験した後に見る、幸せだった頃の夢みたいだ。すぐに目が覚めて現実を突きつけられて、あんな夢みなければよかったという苦い気持ちが残る。

モニカ・ベルッチ、キレイだし若い。今から14年前か。しかしこの映画の言語はフランス語だよね。史上最年長ボンドガール(なんかヤな言い方だけど)を務めた007「スペクター」はもちろん英語。そもそもこの人イタリア人だからイタリア語が母国語だし、「サイの季節」ではペルシャ語を普通に話してた。ほんとにすごいなぁ!
この映画で婚約者役をやってるヴァンサン・カッセルとは、この映画の撮影時は夫婦だったんだな。彼はかなり個性派に見えるので、おもしろいカップルだなぁと思います。彼がプロデューサーも務めてるから、こんな大胆な映画が撮れるんだな、と思います。

うーん、やっぱり「LOVE 3D」は劇場で3Dで見なくてもいいかな・・・。