映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

新藤兼人監督「鉄輪」1301本目

1972年の映画。新藤兼人作品のなかでは特にアートに走ったほうの作品です。
時代劇かと思ったら、現代と古代を行ったり来たり。女の執念はいつの時代も同じです!
趣向もおもしろいけど、短めのカットが次々と入れ替わるのに、だんだんなんとなく飽きてきます。
そしてわりと急に、明確なオチなしに終わります。アートだ・・・。

常連の観世栄夫は、能がベースの作品だから当然出ているし、乙羽信子は今回も、安定の鬼女役。
この映画ですごいのは、何よりフラワー・メグという若い女の子の存在感です。
とにかく脱ぎっぷりのいい子って感じだけど、よく見るとなかなかの演技力です。頭のいい人なんじゃないかなぁ。それから、とても声がきれい。試しにググって、彼女が歌った「私のキライなもの」って歌を聞いてみたら、澄んだ歌声でした。この人、19〜20歳の1年だけ活動してすぐ引退したらしいけど、最近になってから活動再開してるそうで。どんな人なんだろう・・・。