ヴェンダース監督らしい、静謐な美しい映像によるドキュメンタリー。
写真家サルガドの作品世界をたどる映画なので、静止画作品をたくさん使っていて動く絵は少ないのですが、監督自身によるナレーションが全編に流れ、途中、写真とオーバーラップする形でサルガドがしゃべる映像も流れるので、スライドショーのような印象はありません。
なんとなくこの二人の作品世界は似ていますね。透明な目で広い世界を見渡して、どんな小さなものにも美しさを見つける。感受性が繊細すぎて、あまりに多すぎる難民の遺体を目の前にしたときに、その重い美しさに打たれる以上に悲しみに打ちのめされてしまう。そしてサルガドは自然を撮影することにシフトしていきます。
美しい、とただ感じるだけで、自分の中の何かが変わるように思えてしまう。ヴェンダース監督の世界はやっぱり好きだなぁ。