これはまた、ズーンときますね。
韓国のひとたちは、心が深い。感情が深い。と感じてしまいます。
ペドゥナ演じる漁村の駐在所長も、孤独を持ちながら誰にもそれを見せずにいる。
天才的なキムセロンが演じるドヒは、”不幸な家庭に生まれて虐待を受け続けて、なにかが歪んでしまった少女”という、いくら想像してもしきれなかった姿を、ほら、と見せてくれる。
所員たちが感じる「気の毒なんだけどちょっと嫌な感じ」を、見る人も最初は感じる。でも彼女の痛みを共感しはじめると、もう他の役ではなく彼女が自分に思えてきて、なんとも苦しくなる。
自分を汚して、貶めながら生き延びてきた彼女の大人たちへの薄ら笑いを、全部わかって受け止めて、所長は最後にどうするだろう。あの家に戻ったら彼女はどうなってるんだろう。
最後の最後に涙まみれの彼女の顔を覗き込んで、所長は何て言うんだろう?
諦めないで生き延びることが一番カッコ悪くて一番苦しいけど、そうやっていくんだよな。
韓国映画らしい暗い情緒にあふれた、いい作品でした。