映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

橋口亮輔 「恋人たち」1231本目

誰からも注目されることなどない、うすら暗い人生・・・三者三様の愛の不幸を描いている、ということだけど、3種類の不幸は重みが違いすぎる。描き方の比重も違いすぎる。全部に同じように共感できる人はいないんじゃないかな?

派遣先ではいつものない主婦が、ヤマ師に簡単に転がされていく。皇室とくに雅子妃の熱烈なファンで、ロマンチックな小説やマンガを描くのが趣味だけど、普段の生活はおそろしく地味で、夫にも姑にもないがしろにされている。偶然のように現れた男にひっかかって肉体関係をもち、家出を試みるが断念して戻った家で、夫にかすかな希望を見る。
妻を3年前に通り魔に殺されて、その後苛まれ続けている男は、底のない絶望の中でもがき続けます。救いらしい救いも、変化らしい変化も訪れないけど、泣きに泣いた後で仕事の合間に見上げた空は青い。
一見羽振りのいいゲイの弁護士は、態度が悪すぎて恋人に去られ、ずっと思っていた親友には、息子に手を出そうとしていたと疑われる。絶望というほどのものは見えないし、すぐにまた新しい恋人が見つかるだろう。彼の闇は、浅いのではないけど、生き続けられるかどうかという問題には思えない。彼に明るい未来の兆しはとくに見られない。

中心となる3人は初めて見る役者さんたちで、それが新鮮さをもたらしています。しかし結末に一瞬さす光は、ちょっぴり急な感じがします。

去年のキネマ旬報邦画1位の「そこのみにて光り輝く」で号泣してしまったのを思い出すと、ダントツ一位!という印象ではなかったです。