映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・コクトー 監督「オルフェ」1217本目

1950年のフランス映画。ジャン・コクトー監督作品です。
繊細な美しさのあふれる世界。
もしこれがカラー映画だったら、独特の色彩感覚も見られたかな。

<以下ネタバレ>
ストーリーは「オルフェウス伝説」なんだけど、絶世の美女の死神が彼に恋をして、結局最後は元の世界に戻してくれる。彼女の涙腺がゆるむ部分に、相手を思う愛情の深さを感じました。

死神マリア・カザレスの冷たい美しさといったら!最近では「リスボン物語」に出てくるマドレデウスのボーカル、テレーザ・サルゲイロのような。
オルフェを演じたジャン・マレーは、自分ばっかり、前ばっかり見ている情熱的な男の典型みたいな感じで、アメリカ映画の主役にもいそうな感じ。
妻の友人、前髪パッツンのロングヘアのジュリエット・グレコも美しい。

しっかりした構成と、美しさでいっぱいの、なかなかの傑作でした。ミステリーというよりはホラー系?