映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

市川崑 監督「野火」1180本目

1959年作品。
コントラストの強い白黒映像。泥池に足を取られて、仲間が撃たれて、民間人を撃ち抜いて、もう辛いとか苦しいとかではなくて、生きるか死ぬかしかない。でももう生きていても死んでいてもどうでもいい。たいがいの人が、追い詰められてそういう状態になっていくんだろうと思う。辛いな。

戦争映画のなかでは、「印象派」というのかな。ストーリーを追わせる映画でも、教訓を与えようとする映画でもなく、ただ戦争の”汚れ”のようなものをひたすら画面にぶつけてくる。

細雪を撮る監督が、この映画を撮る。アラン・レネの「去年マリエンバードで」と「夜と霧」を撮るみたいな感じで、きわめて耽美的な人にとっての戦争映画。醜悪な戦争というものに出会っても、それを撮らずにいられない、因果な商売なんだなぁ・・・。