映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

想田和弘 監督「精神」1130本目

「観察映画」。これは、いいと思う。
ドキュメンタリーでも、監督の恣意がすごく感じられるものって多い。本当のことを、手を加えずに伝えるにはどうすればいいか?とこの監督は考えたんだろうな。
以前ホームヘルパーの実習に行ったときのような、父のグループホームを訪ねたときのような、誰かの日常がそのままそこにある。新聞記事で読んだとしたら悲惨に感じて戦慄したかもしれないことも、目の前の人がとつとつと語ると、ああそうなのかと思う。

人間は弱いものだから、恐怖や孤独に耐えるのには限界がある。限界がきてしまった人にはもれなく、精神の病がおとずれるリスクが来る。這い上がるのには、多分ものすごくエネルギーが要る。

でも、なにが幸せなのかなーとも思う。この映画のなかの日常にもちゃんと朝が来るし、なんとかご飯を食べて薬も飲んでいる。ほんとうのところ、まあまあ幸せに暮らしてて特になにも問題のない家庭って、どれくらいあるんだろう?たいがいの家には、わりあい真剣な悩みが一つくらいはあるんじゃないかな。あと一歩で壊れるかもしれないんじゃないのかな・・・。

リアルさにぐっとくる一方、強いカタルシスのあるわかりやすい娯楽映画も恋しくなっちゃいますね。