映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

廣木隆一 監督「ヴァイブレータ」1104本目

寺島しのぶ、きれい。
顔の肌もとってもきれいだけど、体もすみずみまできれい。
これほど女性の肌を美しく撮れるのは女性監督かしら、と思ったら、ピンク映画出身なんですね。で、原作が女性。なるほど。

あと、トラックが走っていく夜明けの道が美しすぎる。一瞬ロードムービー?と思うけど、たくさんの人と出会うんじゃなくて、二人というか一人の寺島しのぶを深く深く深掘りする映画なので、トラックに乗った密室ムービーといったほうがよさそう。

音楽はこだわってるというより、好きなものをランダムに並べたみたいで、なんとなくちょっと唐突だ。

深夜のコンビニの駐車場でふらりと男のトラックに乗り込んで、そのまま出かけていく。車のなかで夜が明ける。
いいなぁ自由って。

彼女が問題を抱えてることは最初からわかってるんだけど、心と体を開いていくうちに「好転反応」みたいにぶわーっと心の中の悪いものが出てくる。心の中のものと一緒に胃の中のものも吐き出そうとする。本当に吐きたいものほど、なかなか吐けない。心の底からやっと涙がボロボロ出てくる。
なんかすごく、痛いけど、人間っておもしろいなぁ。

やけによそいきの澄ました顔で最初は出てきたけど、だんだん彼女の中身がむき出しになっていく。

さらっと別れたあとは、こいつのことをずっと思い出すんだろうか?いい男って次々に出会えるもんでもないだろうから。