映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「疑惑の影」1088本目

1942年作品。
戦時中に本土ではこんな映画が作れるんですよ、あの国は・・・。(あれほどの規模ではないにしろ、しょっちゅうどこかと戦争してますもんね)
戦争なんてどこにも感じさせない、家庭を舞台にした怖い怖い心理サスペンスです。

<以下一部ネタバレ>
家族のヒーロー、カッコよくてバリバリの実業家の叔父が家にやってくる。
でも彼は実はある事件で追われていて、それに勘付いた姪も危険にさらされる・・・というストーリー。

みんなすごくほめるし、ヒッチコック自身も自分の最高傑作と呼んだりしているらしいけど、ストーリー構成で気になる箇所がいくつもありました。
身内の「いい叔父」が冷酷無比な犯罪人になっていたことがピンとこない。あれほど鋭敏な姪たちが、彼の本性にこれまでまったく気づかなかったなんて。
図書館で見た新聞に「犯人は二人組」と書いてあったのに、ひとりが死亡したニュースだけで警察が安心するわけないじゃないですか。わざと安心させて泳がせておく作戦かと思ったら、姪が何度も殺されそうになっても誰も助けにこないし・・・。あれ?え?とずっと思いながら見てしまいました。

DVDに収録されてるメイキング映像(出演者などが後日振り返って語る構成)が豪華でよかったです!