映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

レニ・リーフェンシュタール 監督「民族の祭典」1079本目

1938年に行われたベルリンオリンピックの、記録映画?ドキュメンタリー?というより、スポーツ、オリンピックというものの観念を映像化するために実際のオリンピックその他の映像を用いた美術作品。か。

ヒットラーが開会宣言を行うオリンピックの映像なんて、見てはいけない悪い映画というイメージだったのですが、見始めたらエフェクトの少ない素朴な映像美の世界でした。
今のオリンピックのように、各国の文化のプロパガンダを行うわけではなく、アテネの遺跡の映像から古代オリンピック追想し、彫刻のような肉体美の男女がほぼ全裸で舞います。面白いですね、昔はオリンピックを盛り上げるための映像(あ、これは終わってから作ったものですが)としてこういうものを作ろうと思った人がいたんだ。

競技そのものは、アナウンスが名前、国、勝ち負けしか言わないので、なんだか試験の合否みたいで、なにかスポーツの熱さと愛入れない冷たーい感じだなぁ。観客は叫んでるんだけど、今のスポーツアナウンサーの「惜しい!」とか「入りました、入りました、ドイツのxxが一着です!」みたいなのがないと、こうも違うのか。広告も一切どこにもありませんね。

みんなシンプルなタンクトップやTシャツと短パン姿で、それほどアスリートっぽくないのと、今のオリンピックを圧倒している黒人勢が非常に目立たないので、なんとなく違うもののようだけど、運動する人間の姿そのものはそれほど今とは違いません。

いやー珍しいもの見せていただきました。「東京オリンピック」はかなりこの影響を受けてますね!