映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリント・イーストウッド監督「ジャージー・ボーイズ」971本目

ギンレイホールでいちばん最後の回を見ると、真っ暗な中を帰宅する家路がすごーく寂しいことが多いんだけど、この映画はウキウキして友達に「よかったよ!」ってメッセージしてしまいました。

予備知識なしで見たのがよかった。でも楽曲はみんなよく知ってる。知ってるけど彼らの曲だとは知らなかった。タモリ倶楽部のテーマ曲だったり、若い頃に別バージョンが”ディスコ”でよく流れてたりと、うっすら自分の人生に重なってきたりもする。

映画としてとにかくよく出来ていて面白いのと、いまも活躍している人たちの実話だという迫力もあるんだけど、当事者たちはここまでほじくられて複雑だろうなぁ。

クリント・イーストウッド(一瞬出てくる)は、ここでも”アメリカの良心”の面目躍如ってやつですね。失敗あり成功あり、友情あり裏切りあり、でも最後まで見放さないのが仲間だぜ、という「ゴッドファーザー」を思い出させる熱いイタリア系移民の世界?なのか?

フランキー・ヴァリのボーカルは本当にすごいけど、この映画で初めて知ったボブ・ゴーディオはまさに天才作曲家ですね。「彼がいなければフォー・シーズンズはなかった」のはもちろんのこと、彼でなければこの映画はこんなに気持ちのいい映画にはならなかったでしょう。いままで知らなくてごめんなさい。

ミュージカルでも主役を勤めたというジョン・ロイド・ヤングの、ちょっとサエない若者が成長していく演技も、歌唱力もすばらしかったです。

映画の楽しみも音楽の楽しみも最高レベル。上映中にもう一度観に行こうと思います!