映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・ジャック・アノー 監督「スターリングラード」904本目

戦争ってのは人を大量殺戮することなんだ、と改めて気づく。
改めて気づく前は、頭のすみに追いやって忘れた振りをしている。それをカツーンと思い知らされる。
その一方で、ジュード・ロウ演じるヴァシリとレイチェル・ワイズ演じるタニアの再会に「あぁよかった〜」とほっとする。いつの間にかヴァシリに肩入れしてるのだ。怖いのは”人間”じゃなくて自分だ。

この映画は戦争映画なんだけど、真ん中にあるのは人間ドラマです。(そういう意味で、「戦場でワルツを」とか「カティンの森」とは違う)いま上映中の「アメリカンスナイパー」ではさらに、敏腕スナイパーがよき夫、よきパパであるらしい。先史時代から縄張り争いで部族間の殺し合いを続けてきたのだ、そういうギャップを人間は本質的に持ち続けてきただけなのだ、と言われればそうなのかもしれないけど。それでも私は力一杯、戦争反対です。

市井で犯罪を起こした人の内面を掘り下げる映画より、フツーの人がフツーに殺人犯になっている戦争のほうが背筋が寒くなりますね。。。