映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

相米慎二 「魚影の群れ」840本目

1983年の作品。
ずっと方言でしゃべっているので、意味がわからないところがけっこうありました。
ほぼ、わかりやすい英語の映画を見てるのと同じ程度の理解度。
でも彼らの気持ちはわかったよ。
「海は怖い、漁師は天国か地獄だ、漁はギャンブルだ。」
心から血を流しながら、待つのはいつも女。

若い頃だったら、「だから言わんこっちゃない、漁師になんかならないで喫茶店をやってればよかったのに」「やりたい放題は男だけ、女の気持ちとか自由とかはどうでもいいのか」とか思っただろうけど、今は「それもまた人生」と思う。やりたいギャンブルをやって死ねるのは幸せなのかもしれない。待ちたい男を待って年をとるのも幸せなのかもしれない。あんなふうに、全国ニュースに載らずに生きて死ぬことは、都会の大きな会社で一生を終えるのより濃い人生なのかもしれない。

誰にも縛られずに、たった一人で自然に立ち向かう人間の強さや自由というものを感じました。