映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケン・アナキン 監督「史上最大の作戦」724本目

原題はThe Longest Dayですって。「日本のいちばん長い日」の英語版かというようなタイトル。
これを「史上最大の作戦」というタイトルで売るのは、映画会社のマーケターとしてならすごくいいセンスだと思うけど、1962年にこんなタイトルを取られてしまったら、あとから大きな作戦の映画を作った人はくやしかったのでは??といっても、第二次大戦より参加国の多い戦争はその後もないことを考えると、ノルマンディ作戦が本当に今も「史上最大の作戦」なのかな。
※その後wikiで、このタイトルをつけたのが当時配給会社のマーケターをしていた水野晴郎だったと知りました。さすがの非凡さ!(そして後先考えず、そのときの勝ちだけを目論む勝負強さ!)

ジョン・ウェインロバート・ミッチャムヘンリー・フォンダ、当時の屈強系の二枚目が総出です。
作りは決して戦勝国の”ごう慢さ”を感じさせるものではなく、勝った側も受ける堪え難いほどのダメージを受けたことや、負けた側も生身の人間だということをきちんと描いています。その中にも、命がけの作戦にともなう決断や、だめかと思っても最後になんとか勝ち抜けるまでの緊張の連続で、見ているだけの私たちも最後に疲れ果ててしまうような充実感があります。

決して病みつきになってはいけない、このスリル。戦勝国であっても無くすものがこれほど大きい、という風に見たい映画です。