映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山本薩夫 監督「華麗なる一族」712本目

3時間半という長尺。
1回30分とすると7回分という、連続ドラマ並みのボリュームです。
50歳になる京マチ子の妖婉さ!とかに目がくらんでなかなか気づかなかったのですが、キムタクが主役をやったドラマを途中から見たのを思い出しました。
1974年の東京の会社や邸宅のインテリア、ネクタイの太さや柄、当時ピカピカだった京王プラザホテル(と思われる)とか、当時の風俗をよく遺していますね。

「権謀術数」という、欲と利益と保身と争いがどろどろに渦巻く映画。こういうのを見て育つと、個人レベルの損得だけで世の中が回っているという、せまーくて間違った意識を持ってしまいそうだ。需要と供給の関係や、世界情勢や外交関係、いろいろなファクターが合わさって、かつ、高い志をもった人たちの努力で、社会のほとんどは成り立っていて、この映画で描かれているような世界は、ごく一部(影響力は大きいかもしれないけど)だから勘違いしないようにしよう。

登場人物が多く、ストーリーも(背骨となる部分はシンプルだけど)複雑なので、ともすると筋を見失ってしまいそうだけど、テレビドラマを見たからか、さらっと見ることができました。