映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

増村保造 監督「妻は告白する」644本目

やっとこの映画(DVD)が来た。
「見たい映画リスト」に追加してから、もう2年??
これは1961年作品なんだけど、この間見た1957年の「情婦」を思い出しました。
両方、ひとつの裁判を扱った白黒映画で、妻が法廷に立つ場面が中心になっています。
両方とも名作で、結末は対照的。

わずか91分の映画の判決が、こちらは67分でもう判決が出てしまいます。
そこから”妻が告白する”ときまで、何が起こるのか…?

若尾文子がぷっくりと可愛くて生意気で、怖くて空恐ろしくて、なんともいえません。
この人、割と若い頃からケロっとして悪いことをする女の役をやってるけど、ほかの美人女優と何が違ったんでしょうね?

「あなたは誰も愛してなんかいなかった。私もそう。誰かを本当に愛したのは、あの奥さんだけ。女はみんなそうなのよ。」愛する男のために人も殺すし、自分も死ねる。一生尽くし続けることも厭わない。

いやー、すごい映画でした。女のことを非常によくわかっている監督ですね。こわいくらい。
彼の会社に現れる、幽霊めいた着物姿の妻の姿が,幽霊より恐かったです。
本当にすばらしい映画だけど、好き嫌いで言うとイヤ〜な映画なので、点数は98点かな。。。