映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヘンリー・キング監督「慕情」557本目

1949年の香港のハーフの女医がモデル。そういう映画だったんだー。エキゾチック!
タイトルは、「splendored」じゃなくて「splendid」だと思ってました。(どう違うのかよくわからない)

いやー、のっけから美しい。香港の、東西が入り交じった風景も魅惑的だし、ジェニファー・ジョーンズのチャイナドレス姿の美しいことといったら。とっかえひっかえ、スカイブルーのパーティ用チャイナドレス、サーモンピンクのドレスに暗いグリーンのショール、オレンジがかった黄色のチャイナドレス、紫のショール、紺地に白い縁取り、等々。この衣装監督は誰?
ウィリアム・ホールデンって人が良さそうな邪気のない笑顔がいいですね。

居心地のいい外国で、珍しさや美しさにうっとりしながら、素敵な人と出会う…という、この上なくロマンチックな設定。中国と英国のハーフの(女性が見ている場合「私」)、(男性が見ている場合「君」)と恋に落ちる…。
中国の家族とのやりとりがあっさりしすぎてたりしますが、いいんじゃないでしょうか、こんなに夢のように美しければ。

不倫だろうが、うたかただろうが、生まれて来て一度でもこんなに美しい瞬間があればそれでもういい、って感じです。60年も前の映画で、出演者のほとんどがその後年老いて、もうこの世にいないということが、切なさをプラスします。あー、いい映画だった。