映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャック・タチ監督「ぼくの伯父さんの授業」461本目

ジャック・タチによる、マイムの講義。
「プレイタイム」DVDの特典映像として入ってました。これはお得だ。

ハリウッド白熱教室」を見た流れで見ると、彼の人間観察の深さやコメディセンスが際立ってきます。
郵便配達の自転車に乗った人の動き(急ブレーキをかけると、一瞬身体がぴーんと前に伸びる、とか)のデモンストレーションも楽しい。いや、ぶっちゃけ、「プレイタイム:本編もこの解説つきで見たかったといっても過言ではない。

のんびり父さん風のタチの役柄が、緻密な計算に基づくものだということがわかって、とても興味深い短編でした。

彼は映画の中で必ずといっていいほど「何を深刻な顔をして話してるんだ、いっしょに踊ろう」というような台詞を役者に言わせます。これは、のんびりしているように見えて誰よりも頭を使っている彼にして初めて言える言葉なのだと気づきました。真剣なのは当たり前、自分のことばかり考えずに、人を楽しませる人間になれよ、と言いたかったんでしょうね…。