映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

田中徳三監督「悪名」406本目

面白かった!
ヤクザ映画の義理人情が苦手なわたしですが、この映画は好きです。
主役の勝新太郎が「俺はやくざが大嫌いなんだ」って断言していて、ちょっとアンチヤクザな色合いがあるからかな。

座頭市より前の勝新太郎って初めて見たかも。
ガラが悪くて、けんかっ早く、女好きな感じがあるけど、なんだろうこの情感は。
すごい才能と、可愛さと、不思議なはかなさのある魅力的な役者さんですね。

河内弁ですかね、登場人物の話す言葉はみんな庶民的な関西弁です。
田宮次郎がバリバリの早口の関西弁で、こういう役をこんな風にカッコよく演じてたなんて、超意外でした。私のイメージは「タイムショック」と「白い巨塔」なもん
で。

水谷良重中村玉緒の可愛いこと!
ちょっとワルい人妻を演じる中田康子という女優さんも、とてもカッコイイ。
そして、いつも割とおとなしい老母とかを演じていた浪花千栄子が、女衒の大元締め!びっくりしました。

とにかく主役の二人が光っています。
ストーリーは、「結局あんたは誰が好きなのよ」って感じですが、起伏の激しい展開を勝新の冷静な言動が引き締めていて、ついついスクリーンに見入ってしまいます。

昔の日本の面白いドラマが見てみたい!という人に、ぜひ。