映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スタンリー・キューブリック監督「シャイニング」392本目

この映画見るの、たぶん初めて。
みんなが怖い怖いというので、びくびくしながら見たおかげで、怖さ30倍!
誰かも書いてたけど、ジャック・ニコルソンシェリー・デュヴァルの顔が怖すぎる。というか怖い顔の演技がうますぎる、けど素顔もやっぱり怖い。
(ダニー君かわいすぎ。)

怖いといっても、血みどろのシーンはごくたまに、サブリミナルみたいに出てくるだけ。緊張感をあおる場面の連続が1時間半以上続いて、ジャックが斧を振り上げ始めてからも、彼にはまだ人間らしさやユーモアも残っています。出し惜しみの極地!残虐なシーンを絞って絞って、心理的怖さをどう演出するか、というところが非常に練り上げられていて、そんなキューブリックの執念深さが心底怖いよ。

ジャックとシェリーの夫婦ってアダムスファミリーみたいだな。妻の徹底的なへっぴり腰がすごいくらいです。

でも、ふっと緊張が途切れると、演技の大げさなのに笑ってしまったりします。ジャックとバットを持ったウェンディのやりとりとかね。「RED RUM」も、日本語ネイティブにはぴんとこないかな。

ホラー映画のタイトルって恐怖の対象の名前をつけるのが普通だと思うけど、この映画の場合、邪悪なものに取り込まれないダニー君の「光」のほうがタイトルなんですね。