とても静かな、日常的な映画でした。
いつもお金を借りにきてたおじいさんが、お棺に花を手向けるところでちょっと泣きそうになったけど、淡々としていて、じーっと見てそのまま終わった。
でも今後何度も思い出すだろうな、と思います。
アンディ・ラウが、スターじゃなくて、長年お世話になった家政婦の桃さんを介護する役。おそろしく地味な役だけど、彼の老母との日常ってのがあるとしたら、こういう日々なんだろうな、と感じさせる演技でした。
桃さん役のディニー・イップは、桃さんでしょと言いたくなるくらいリアル。まじめに自分の仕事を、人生を、生きてきた大きな女性です。こういう人が大勢いて、注目されることもなく香港を支えてるんでしょうね。家政婦っていうのは職業だけど家族でもあり、どういう感じなんだろうと不思議。
介護施設の主任を演じたチン・ハイルーも良かった。事務的でもなく、情に流されもせず、きちんと彼らの日々を管理してる。
DVDの特典映像でインタビューを受けている桃さん役のディニー・イップがあまりに若くて美しくてびっくり!ていうか、打ち合わせの場面に出てたのは、サモハンキンポーとツイハークだったんだ!
監督は石井ふく子、じゃなくて、(似てる)アン・ホイ。私がイメージする以前の香港映画とは違って、中国三千年の歴史や哲学を受け継いで、川の底で宝石が光るのが川面からときどき見えるみたいな映画でした。