映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スタンリー・キューブリック監督「恐怖と欲望」365本目

1953年にアメリカで制作・公開されたけど、キューブリック本人が「アマチュアの作品」として封印していたものがメキシコで発見され、日本でもとうとう公開されました。というので見に行ってみました。
キューブリック、見てないものもまだたくさんあるけど、かなり好きです。私は彼の作品の完成度の高さを愛する者なので、これを封印した気持ちもわかるような。この頃まで、キューブリックは監督、制作、脚本に撮影、編集まで自分でやってたんですね。でもこの後に同様にほとんど自分で作った「非情の罠」って映画は満足して?残してるようです。そっちも見て比べてみなければ。

4人の兵士が敵地に墜落して、自国の領域まで戻るまでを描いた60分ちょいの小品です。
なんとなく無責任で自分は手を汚さないコービー中尉。どんどん攻めようとするマック軍曹。冷静なフレッチャーとまだ少年めいたシドニーの二人の二等兵

敵地にいるので、一般市民も敵。若いシドニーは殺人に直面してちょっと精神に異常を来してしまいます。実はこれがその後「ハリーとトント」を撮るマーク・マザースキーで、なかなか印象的な演技です。
残りの3人で敵陣を攻めますが、攻められるほうの将軍と副官が、こちら側の中尉とフレッチャ二等兵一人二役で、彼らの間を黒いボクサー犬が走り回ってどっちにもなついてるのが、なんだかとても変なかんじで面白いです。

これがその後のキューブリックの戦争映画にどう影響していったのか。一本も見てないので、さっそく見てみます!