映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

木下恵介監督「カルメン故郷へ帰る」305本目

1951年作品、日本初の総天然色映画。

テレビで放送されたデジタルリマスター版を見ました。
鮮やかだけど色がなんか不自然。空の青が濃すぎて群青っぽいし、人物が黄色っぽい感じ。これでも、劣化した元の映像よりだいぶキレイなんだろうな。

そんな色合いだけど軽井沢の自然がすがすがしいです。群馬かと思った。(なんとなく)
高峰秀子がすばらしく可愛くチャーミング。歌声も奔放で引きつけるものがあります。
オリジナルのテーマ曲「カルメン故郷に帰る」作詞木下忠司作曲黛敏郎…ジャズ風の旋律が素敵。歌詞にモロッコって出てくるとことや、女優が歌うというところが、マレーネ・ディートリッヒを思いだします。
この人の陰のない演技は本当に、見る人に元気を与えますね。「ハダカ踊りをするちょっと頭のわるい女」の役を、完全肯定してやり抜いてる感じがします。

昭和でいえばまだ26年。戦争の影がこの映画の中にも残っていますが、明るく前向きにいこうよ!というエネルギーを、日本じゅうに届けた映画だったんだろうなーと思います。