映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フリッツ・ラング監督「M」261本目

1931年作品。

フリッツ・ラング監督の「メトロポリス1984年版はその後VHSを買ったくらい好きだったので、同じ監督の作品で名作と名高い「M」もずっと見たかったのです。ソフトが全然なくて、見る機会はないのかもと諦めていたので、これもコスミック出版さんありがとう、です。(著作権切れ作品はネットで英語版はかなり見られるようになってきたみたいですが)

ドイツのある町で連続幼女誘拐殺人事件が発生する。手掛かりはなく、被害者ばかりが増えていく。犯人からは新聞に挑戦状が投稿され、警察はいよいよ操作を本格化する。重い精神病で入院履歴があり、一見無害と思われたので退院した人たちをしらみつぶしに探すことから、容疑者が絞られてくる。一方、町のホームレスや詐欺師たちは、犯人が逮捕されても病院送りになり、脱走したり退院したりして戻ってくるだろうと考えて、独自の方法で犯人を探し始める。・・・

すっごく面白かった。
これまじ傑作です。古くないどころか、2000年代に作られたのかと思うほど、現代的な問題を今と同じ感覚で描いています。画面もシャープで常にカッコいい。犯人が誘拐の時に吹く口笛には背筋が寒くなるし、この犯人の甘ったれたような激こうしやすさも、いかにもこういう犯人だろうと思わせるリアルな大熱演です。そして彼のコートに烙印のように押された「M」の文字。なんてドラマチックなんでしょう。映画全体が非常に引き締まっていて無駄がなく、お手本のようです。ぜひ見てみてください!

字幕は新しくつけ直したようで、「目の不自由な人」「ホームレス」といったいまどき風の表現が多く見られてpolitically correctです。ちぇ。でまた、KINENOTEに書いてあるあらすじは筋が若干不正確なようで、この字幕をしっかり追うと複雑なストーリーがよくわかります。いい仕事してるね、コスミック出版。